久美(仮名)さん(27歳)が足のだるさを感じ始めたのは、待望の第一子の出産後。
出産直後のせいと思っていたのが、半年経っても足のだるさや重みが元に戻りません。膝の裏側には青く浮き出た血管が目立ち、足にはむくみやかゆみも・・・
育児検診でたまたまドクターにそのことを相談してみました。
ドクターに「下肢静脈瘤かも知れませんね。血管外科で診てもらったらどう?」
と言われ、血管外科を訪れました。
専門医 「下肢静脈瘤ですね。足に浮き出て見える血管の状態から、網目状静脈瘤というタイプですね」
久美さん 「先生、何が原因なのでしょうか?」
専門医 「直接の原因は静脈にある弁が壊れて逆流が起こることなんですが、出産が誘因となることがよくあります。妊娠すると下腹部の圧迫や下肢の静脈圧が上昇したり、ホルモンが影響するんです。でも治療法があるから大丈夫! 心配する必要はありませんよ」
久美さんは育児のこともあるので先生と相談し、後日、外来で治療できる硬化療法を行いました。 硬化療法は期間をあけて2回行いました。一回の硬化療法は15分程度で終わり、痛みもほとんどありませんでした。治療後1年が経過しますが、静脈瘤は消え、足はすっかり軽くなり、今は育児に精を出しています。
これは「網目状静脈瘤」の症例です。内腸骨静脈からの逆流を主因とする網目タイプであることが3次元CTスキャンでわかります。
硬化療法施行後1年で、膝の裏側の静脈瘤が消失しています。*詳しくは基礎知識のページへ。
妊娠出産は下肢静脈瘤の大きな成因の一つです。原因は妊娠により大きくなった子宮による骨盤内静脈の機械的圧迫、妊娠中に増加したホルモンが大きく影響していると考えられています。
下肢静脈瘤のできやすい人 |
危険因子 | ||||||||||||
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